夏の名残り

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「夏の名残り」
これらの写真は、2007 年から 2017 年の間に旅をしたフランス国内、アメリカ、 日本、英国、イ
タリア、スペイン、ベルギー、オランダ、スイス、オーストリア、ドイツ、 スリランカなどで偶然
に撮らえたイメージである。
この 10 年間、私は、一連の疑問や陰鬱な想いを抱えながら、まさに 50 代の中年の危機を体 験し
た。若かりし時代は終わったという明白な事実、既に思春期の子供たちがもうすぐ私の元 を離れ
ていくことを思い、人生の終わりに向かって減退していく不安を感じながら、なぜ写真 を撮り続
けるのだろう?と考えた。 私という存在が開花し、幸せだった時代は終わったように思え、自分で
ありながら不可解で 灰色がかった 年月の中に埋もれるしかなかった。
この私の中の大きな変化は、2013 年の終わりになると私の写真に影響を与え始めた。私は 正方形
判の写真をやめて、映画的要素の強い 6×4.5 のセミ判フォーマットを使い、活気を取 り戻すため
のように、若い時に作っていたモノクロ写真に再び立ち戻った。 しかし、旅の断片を拾い集めた
これらの写真の中では、いつも私の家族が大きな位置 を占めている。それはいつまで続くのだろ
うか? そして、その後は・・・?
幸いにも、2016 年の 9 月になるとこれらの迷いは一掃された。動揺した時期は終わり、私は再
びカラー写真への強く激しい欲求を感じた。この時から、私にとって写真は時を留めるた めだけ
にあるのではなく、時をじっくり味わうことを学ぶためにあるのだと気付いた。今、この 瞬間を
生きる小さな幸せや愛おしい感情に意識を向けること・・・。
また新たに訪れる夏の予兆を感じながら、私は今、この美しき「夏の名残り」をかみしめ、楽し
んでいる。